抄録
スタンフォードA型の解離性大動脈瘤に対して発症7日目に上行大動脈人工血管置換術を施行した. 術後, 経口食摂取を開始したところイレウス状態に陥り, 1カ月間の禁食の後の再開でも再度イレウス症状から Enterococcus faecium による敗血症を来した. 消化管造影, 内視鏡検査などから消化管の器質的障害は否定的であったが, 血管造影, CT検査などでは abdominal angina の可能性を否定できず, 開腹手術を施行した. 手術は, 腹部大動脈の開窓術, および大動脈-上腸間膜動脈バイパス作成術を施行した. 術後はイレウス症状の再発もなく, 無事退院することができた.