日本心臓血管外科学会雑誌
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胸部大動脈瘤に伴う大動脈気管支肺瘻症例の検討
丸井 晃望月 高明三井 法真小山 忠明
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1999 年 28 巻 4 号 p. 247-251

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抄録
1993年1月より1998年5月までに当院にて経験した胸部大動脈瘤に起因する大動脈気管支肺瘻 (Aortobronchopulmonary fistula, ABPF) 12例を対象とした. 男性7名, 女性5名, 年齢は30~85歳 (平均67.4歳) であった. 非感染性の真性瘤 (4例) によるABPFでは, 手術で肺と癒着している動脈壁との血流を隔離することにより良好な結果を得た. 胸部動脈瘤術後の感染性仮性瘤によるABPF (4例) は, 手術施行, 非施行症例とも全例急性期または遠隔期に再喀血で死亡した. 大動脈解離に合併したもの (1例) は肺との癒着が広範囲であり, 血栓化した偽腔を貫通して複数のABPFが形成されたため術後も喀血が持続し死亡した. 手術非施行となった3症例は全例喀血で死亡した. 感染合併例では確実な感染コントロールが困難で, 予後不良であった. 感染性4症例は無症状にABPFが形成され突然の喀血により死亡したため, 厳密な経過観察が必要である.
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