日本心臓血管外科学会雑誌
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仮性瘤様形態を呈した真性左心室瘤の2例
森田 雅文三重野 繁敏柿本 祥太郎野村 幸哉蓑原 靖一良
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1999 年 28 巻 4 号 p. 275-277

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抄録

心筋梗塞後の合併症としての左心室瘤は一般的には真性瘤と仮性瘤とに大別され, それにより破裂の危険性, 手術適応などの判断が下される. 今回, 仮性瘤様形態を呈し, 真性瘤か仮性瘤かの判断に苦慮した2症例を経験した. 症例1は77歳男性, 心筋梗塞後左心室造影検査で後下壁に仮性瘤様の交通口の細い瘤の増大を認めた. 瘤径は40mm大で細い茎であった. 症例2は61歳男性, 心筋梗塞後 oozing rupture を来たし心タンポナーゼにてドレナージを施行, 急性期を脱したが左室造影で下壁に破裂後の瘤形成 (仮性瘤様) を認めた. 瘤径は20mm大で茎は細かった. 両者とも組織学的に真性瘤の診断を得た. 形態学的に左室後壁や下壁は支持組織の存在によって真性瘤であっても仮性瘤様の茎の細い形態をとると考えられた.

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