2000 年 29 巻 3 号 p. 175-178
症例1: 74歳, 女性. 72歳時, 冠動脈バイパス手術を受けたが, グラフト閉塞のため再手術となった. 橈骨動脈を用い, まず左腋窩動脈に中枢側吻合を行った. 第2肋間よりグラフトを胸腔内に通し, 左小開胸で露出したLAD (#8) に末梢側吻合を行った. 症例2: 64歳, 男性. 冠動脈バイパス術後, 胸痛がみられ, LITA-LAD吻合部にカテーテルインターベンションが行われたが, LITAが完全閉塞となり, 手術目的にて当院入院となった. 大伏在静脈を採取し, 症例1と同様の術式で手術を行った. この方法では, 左前下行枝または対角枝の一部への血行再建のみ可能であるが, 最近では, カテーテルインターベンションとの併用が有用であるとの報告も多く, 冠動脈バイパス再手術症例であっても, 低侵襲な本治療法が可能であると考えられる.