日本心臓血管外科学会雑誌
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橈骨動脈グラフトを使用したCABG術後の握力・浮腫・知覚障害に関する検討
中村 浩己畑 隆登津島 義正松本 三明濱中 荘平吉鷹 秀範毛利 亮近澤 元太篠浦 先南 一司大谷 悟
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2000 年 29 巻 6 号 p. 368-372

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抄録

CABGにおける橈骨動脈グラフト (RA) の有用性についての報告は数多くみられるが, 術後の握力, 浮腫, 知覚障害などの問題を詳細に検討した報告は認められない. CABGの連続30症例を対象として, prospective study を行った. RAを使用した症例をR群 (n=14), 使用しなかった症例をC群 (n=16) とした. 手術時間, 体外循環時間, 大動脈遮断時間などで, 両群間に有意差はみられなかった. R群では, グラフト採取側握力が術後低下したが, C群との有意差はみられなかった (術後1カ月: R群=26.2±9.6kg, C群=26.2±7.5kg). R群では術後に浮腫 (左右前腕周径差) がみられたが (術後1週間: 3.5±3.6mm), 経時的に徐々に回復する傾向がみられた (術後1カ月: 1.9±2.6mm). 術後皮膚の知覚異常はみられなかった. 以上より, R群はRA採取側前腕に臨床上大きな問題を残すとはいえず, 安全であると考えられた.

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