日本心臓血管外科学会雑誌
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Carpentier-Edwards 牛心嚢膜弁を用いた高齢者大動脈弁置換術の遠隔成績の検討
(フランス・Trousseau 病院での経験)
中島 博之Michel Marchand
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2000 年 29 巻 6 号 p. 373-377

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抄録

1984年から1995年12月にかけて, Carpentier-Edwards 牛心嚢膜弁を用いて大動脈弁置換術を施行した60歳以上の652例について遠隔成績を検討した. 平均年齢は72.2±6.7歳で, 約7割が男性であった. 1996年の7月からの3カ月の調査期間において, 1例を除き全症例の追跡が可能で, 平均観察期間4.4年, 累積観察期間2,802患者・年であった. 遠隔期死亡は138例で, そのうち弁関連死亡は30例であった. 弁関連合併症としては, 塞栓症37例, 感染弁14例, 出血10例, 再手術8例, 人工弁機能不全2例であった. 術後12年の人工弁機能不全非発生率は98±2%, 再手術の回避率は96±4%, 弁関連合併症の非発生率は58±25%, 弁関連死亡非発生率は76±24%であった. 牛心嚢膜弁は術後遠隔期の弁関連合併症, とくに人工弁機能不全の発生は少なく, 60歳以上の高齢者に対する大動脈弁置換術においては優れた選択枝と考えられる.

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