日本心臓血管外科学会雑誌
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抗リン脂質抗体症候群により僧帽弁位人工弁の stuck valve をきたした1例
高倉 宏充佐々木 達海橋本 和弘蜂谷 貴小野口 勝久鴛海 元博竹内 成之
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2000 年 29 巻 6 号 p. 414-417

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抄録

症例は69歳・女性. 平成9年3月26日, 僧帽弁狭窄症に対し僧帽弁置換術を行い, 外来通院中であった. 同年9月13日, 呼吸困難, 起座呼吸をきたし救急来院. Valve cine 撮影にて stuck valve と診断し, 緊急再弁置換術を施行した. 術後の血液凝固系の検索にて抗リン脂質抗体症候群と診断されたため通常より厳密な抗凝固療法を行ったが, 約1カ月半後にふたたび stuck valve をきたし生体弁による再々弁置換を行った. 本症候群を合併する僧帽弁疾患症例に対しては, 自己弁温存術式を第一選択とし, 人工弁置換を余儀なくされた場合は生体弁の選択が望ましい.

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