抄録
大動脈炎症候群8例を, 大動脈弁病変のみのA群3例と冠動脈病変を有するB群5例に分けて検討した. 症例は全例女性で手術時年齢は42~68歳 (平均53.8歳). A群は3例とも大動脈弁置換術 (AVR) が行われ, B群中2例は大動脈冠動脈バイパス手術 (CABG) のみ施行, 3例がCABG+AVRを施行された. AVRは全例で器械弁を使用した. CABG術式は静脈グラフトのみ3例, 左内胸動脈グラフト+静脈グラフト2例であった. 術後は赤血球沈降速度を指標として6例でステロイドを内服した. B群中劇症肝炎 (術後2カ月目), 呼吸不全 (3年2カ月後), 脳梗塞 (6年後) の各1例を失った. 術後5年生存率は65.6%, 10年生存率は32.8%であった. ステロイド離脱可能であったのはA群中1例のみであった. 高安病に由来する冠動脈病変に対する外科治療はいまだ問題点が存する. 手術後にも炎症のコントロールのためにステロイド投与を行うべきであり, 厳重な管理が必要である.