日本心臓血管外科学会雑誌
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心室中隔欠損閉鎖術後の僧帽弁および三尖弁閉鎖不全症に合併した蛋白漏出性胃腸症
僧帽弁・三尖弁修復による1治験例
長谷川 順一門場 啓司長阪 重雄
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2001 年 30 巻 1 号 p. 48-50

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抄録
症例は37歳男性. 学童時に心室中隔欠損症で2度の手術を受け, 31歳頃から僧帽弁閉鎖不全兼三尖弁閉鎖不全症の診断で通院していた. 安静時にも呼吸困難が出現するようになり入院した. 両下肢の浮腫と腹部の著明な膨隆を認めた. 強心剤・利尿剤の投与により心不全症状は改善した. しかし, アルブミンの補充にもかかわらず総蛋白3.7g/dl, アルブミン1.9g/dlと低蛋白血症と低アルブミン血症が持続し, 胸水・腹水も減少しなかった. 消化管シンチにて蛋白の消化管内への漏出を認め, 蛋白漏出性胃腸症を合併した僧帽弁閉鎖不全兼三尖弁閉鎖不全症の診断で手術を施行した. 手術は両弁とも形成術を施行し, 術後II度の三尖弁逆流が残ったが, 中心静脈圧は低下し腸管への蛋白漏出は改善し腹水も消失した. 三尖弁閉鎖不全症に伴う蛋白漏出性胃腸症の報告は少なく, 報告した.
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