日本心臓血管外科学会雑誌
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先天性大動脈二尖弁を伴う大動脈弁疾患の外科治療
割石 精一郎金光 尚樹天白 宏典岡部 学中村 隆澄
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2001 年 30 巻 2 号 p. 59-62

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抄録

1997年1月から1999年12月の間に経験した大動脈弁疾患の手術症例52例のうち, 術中の大動脈弁所見から先天性二尖弁が確認された症例は, 24例 (46.2%) であった. 狭窄病変を主体とした症例が多数を占めた. 右冠尖左冠尖型は15例, 前尖後尖型は9例であった. 22例に大動脈弁置換術, 1例に大動脈基部置換術, 1例に大動脈基部再建術を施行した. 心房中隔欠損症合併症例を1例, 心室中隔欠損孔閉鎖術後の再手術症例を1例, 高位背側起始右冠動脈症例を1例, 感染性心内膜炎による菌塊付着症例を2例経験した. 狭窄病変を呈した症例では, 全例に交連部, 弁輪部から弁尖にいたる石灰化が著明であり, 病変の強度なものが多かった. 多くは狭小弁輪を有し, 強い狭窄後上行大動脈拡張をきたしていた. 全例, 術後経過は良好で, 現在, 外来にて経過観察中である. 先天性大動脈二尖弁に続発した大動脈弁手術には, 術前, 術中のとくに慎重な大動脈弁, 大動脈弁輪, 大動脈の評価, および合併異常の評価が必要であると考えられた.

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