日本心臓血管外科学会雑誌
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破裂性孤立性腸骨動脈瘤の治療成績
戸部 道雄近藤 治郎井元 清隆鈴木 伸一磯田 晋橋山 直樹矢野 善己高梨 吉則
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2001 年 30 巻 3 号 p. 118-121

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抄録
1983年から1999年の16年間に外科治療を行った14例 (全例男性) の孤立性腸骨動脈瘤の治療成績を非破裂群 (6例, 12動脈瘤) と破裂群 (8例, 10動脈瘤) に分けて検討した. 動脈瘤の発生部位は, 非破裂群では総腸骨動脈5例, 内腸骨動脈1例であり, 破裂群では総腸骨動脈6例, 内腸骨動脈2例であった. 破裂群では7例 (87.5%) が緊急手術を行ったが, 発症から24時間以内の緊急手術は半数であった. 動脈瘤径は総腸骨動脈瘤 (非破裂群47mm, 破裂群44mm), 内腸骨動脈瘤 (非破裂群55mm, 破裂群55mm) で両群に差がなかった. 手術死亡は破裂群で2例認め, 破裂群の死亡率は25%であった. 破裂群のうち出血性ショックでの発症は6例 (75%) で, うち2例が死亡した. ショック合併例では腸管虚血を2例に認め, 1例では死因となった. 手術成績向上には, ショック例に対する腸管虚血防止のための迅速で適切な対応と術式の選択が肝要である.
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