日本心臓血管外科学会雑誌
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僧帽弁疾患に合併する慢性心房細動に対する肺静脈隔離術の検討
田中 弘之鈴木 和浩成澤 隆鈴木 隆高場 利博
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2001 年 30 巻 3 号 p. 122-125

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抄録
手術侵襲のきわめて小さく単純な術式である肺静脈隔離術の僧帽弁膜症に合併する心房細動 (AF) に対する効果を検討した. 対象は過去3年間に僧帽弁疾患を主体とする弁膜症に肺静脈隔離術を施行した12例である. 弁膜症手術は僧帽弁形成術, 人工弁置換術を主とし, 大動脈弁置換術, 三尖弁弁輪縫縮術を合併したものも含めた. 肺静脈隔離術は左房の肺静脈開口部を円形に切除, 縫合した. AF消失は10例 (83%) に認めた. 2例にDDDペースメーカーを挿入した. 入院死亡が1例あり, 手術2カ月後に肝不全で失った. 経食道エコーにより左房収縮を8例 (80%) に認めた. 術後AF持続の2例はAF歴10年以上の僧帽弁狭窄症主体の症例であった. 弁膜症に合併する慢性心房細動に対して本術式は maze 手術と比較し, 手術侵襲が小さく心房利尿ホルモンを分泌する両心耳も温存され, 症例を選択すれば有用な手段と考えられた.
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