日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
術後対麻痺を合併した破裂性腹部大動脈瘤の1例
坂口 昌幸藤井 尚文西村 和典柳谷 信之
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 30 巻 3 号 p. 146-148

詳細
抄録
破裂性腹部大動脈瘤術後に下肢対麻痺をきたした1例を報告する. 症例は72歳, 女性. 腰痛を主訴に近医受診. 腹部CT上, 腹部大動脈瘤と後腹膜腔に多量の血腫を認めた. 破裂性腹部大動脈瘤と診断され, 当院に搬送された. 腎動脈下腹部大動脈で血行遮断し, 人工血管置換術を施行し救命しえたが, 術後Th10以下の下肢完全対麻痺を認めた. 本合併症の発生はきわめて希で, かつ重大である. 本症例では術前からショック状態で, 術中, 術後も血圧維持が困難であったことが脊髄虚血の原因と思われた. 大動脈手術での脊髄虚血の予防には, できるだけ大動脈遮断時間を短くすることと, 術中術後の血圧維持が重要であると思われた.
著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top