2001 年 30 巻 6 号 p. 311-313
症例は52歳, 男性. 抗リン脂質抗体症候群 (APS), 慢性腎不全, 重症筋無力症に対する加療中に発症した急性大動脈解離 (DeBakey I型) に対し, 当科で上行弓部大動脈人工血管置換術を施行した. 無尿に対し, 術直後から腹膜透析を行い有効であった. 術後2日目 (2POD) に一度抜管したが, 9時間後に再挿管し, 3PODに再抜管した. APSの再燃に対しステロイドを増量したが, サイトメガロウイルス感染から敗血症, DIC, 多臓器不全を併発し, 74PODに死亡した. APSのなかには治療抵抗性の群もあり, ステロイド増量による日和見感染には厳重な対策が重要である.