日本心臓血管外科学会雑誌
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多発性単神経炎の経過中に発症した急性肺動脈血栓塞栓症の1例
中島 恒夫中野 博文渡辺 邦芳高野 環長谷川 朗後藤 博久北原 博人黒田 秀雄天野 純
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2001 年 30 巻 6 号 p. 314-316

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抄録

症例は63歳男性. 1980年から高γグロブリン血症を伴う多発性単神経炎で加療中だったがしだいに増悪し, 1992年には独歩困難となった. 1997年2月28日, 排便後に呼吸困難を自覚した. 翌日の心臓超音波検査で右房から右室に連続する血栓と胸部CTで左右肺動脈に血栓を認め, 急性肺動脈血栓塞栓症と診断, 体外循環下に緊急血栓除去術を施行した. 血栓は, 右房右室内にはなく, 左右肺動脈内に存在した. 術後に行った下肢静脈造影で右総腸骨静脈に血栓を認めたため, IVC内に Greenfield filter を留置した. 術後経過は良好で, 現在まで再発を認めていない. 本例は長期臥床による深部静脈血栓が直接の原因と考えられるが, 高γグロブリン血症による hyperviscosity が血栓の形成に関与した可能性が示唆された.

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