2001 年 30 巻 6 号 p. 327-330
症例は40歳男性. 上行大動脈の全周性高度石灰化を伴う冠動脈2枝病変と Leriche 症候群を合併していた. 上行大動脈および大腿動脈は体外循環の送血カニューレの挿入部位として不適切であり, 通常の体外循環の確立は困難と考えられた. したがって, 手術は, 万一の体外循環への移行に備え, 下肢血行再建用の人工血管を右腋窩動脈にあらかじめ吻合しておいてから off pump CABGを行った. その後で下肢血行再建を完成させた. 術後の経過は良好であった. 上行大動脈に石灰化を伴いかつ, 下行大動脈以下に狭窄病変を合併する症例に対し off pump CABG は有用である.