抄録
急性A型大動脈解離症例の術前造影CTの画像解析からentryの存在部位の推定法を検討した.Marfan症候群を除く連続手術症例21例のうち,術前検査されていた19症例を対象とした.CT画像の大動脈断面径の計測,面積の算出を行い,術中所見によりentryが上行大動脈に存在した群(A群;7例)と弓部,下行大動脈に存在した群(B群;12例)の2群間で比較検討した.大動脈弓部における真腔の面積比率がA群では65%と有意に高く,B群では50%未満と低く,両群間の判別指数は55.1%であった.また,上行,下行大動脈における真腔径比率はB群では,A群と比較して低下しており,両群間の判別指数はそれぞれ68.2%,77.3%と上行,下行大動脈においてB群の解離腔の拡大所見を認めていた.急性A型大動脈解離において術前造影CT検査の詳細な画像解析の検討は,entryの存在部位の推定と治療方針の決定に有用である.