抄録
症例は7年前に当院でラステリ手術(Carpentier-Edwards 14mm弁付きグラフト)および左肺動脈形成術を受けた心室中隔欠損および肺動脈閉鎖の11歳男児.術後7年目の心臓カテーテル検査にてグラフトの狭窄と左肺動脈高度狭窄を認めた.左肺動脈は最狭部2mmしかなかったが,周囲を十分に剥離し,内膜を切開することにより10mmの肺動脈口径を確保し,周囲の癒着組織に縫合線をおき,ePTFE弁付きウシ心膜パッチを縫着した.術後経過は良好.術後3-D CTにて9mmの左肺動脈の開存を確認した.高度に狭窄した肺動脈であっても十分な剥離ののち周囲癒着組織を利用した形成術が有効であった.