2002 年 31 巻 4 号 p. 247-251
当施設で心筋梗塞後合併症として手術を施行した,乳頭筋断裂(2例),左室自由壁破裂(3例),心室中隔穿孔(11例)を対象とした.乳頭筋断裂症例はいずれも後乳頭筋の完全断裂で,MVRを施行した.1例は術前からのPCPS装着により救命できたが,他の1例は術後LOSにて死亡した.左室自由壁破裂症例は,oozing型が2例,blow out型が1例で,blow out型を含め2例が救命できた.救命例はいずれも術前からのPCPS装着症例であった.心室中隔穿孔症例は,男性7例,女性4例で,手術術式はパッチ閉鎖が7例,直接閉鎖,apical amputationがおのおの1例,Komeda-David法が2例であった.11例中6例が救命できた.急性心筋梗塞後合併症では,急激に循環動態が悪化する場合が多く,積極的にIABP,PCPSを使用し,循環動態を維持したうえで,早急に手術を行うことが重要である.