抄録
逆行性持続的血液心筋保護法(RCBC)の至適灌流温度を検討した.待機的CABG症例35例を対象とし,RCBCの温度によりC群(20℃,12例),T群(30℃,11例),W群(36℃,12例)の3群に分けた.再灌流時の心筋酸化ストレスの指標として過酸化脂質,酸化型グルタチオン(GSSG),血漿myeloperoxidase(MPO)値の冠動静脈較差を測定した.術後CKMB最高値,術後心機能(LVSWI,RVSWI,RVEF)も検討した.再灌流時GSSGの冠静脈への遊離はC群でT群・W群に比較して有意に増加した.再灌流時の過酸化脂質,MPOの冠動静脈較差に3群間で差はなかった.術後CKMB最高値はT群において有意に低値であった.術後心機能は3群間に差はなかった.以上より30℃のRCBCが最も良好な心筋保護効果を示した.