日本心臓血管外科学会雑誌
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下肢閉塞性動脈硬化症血行再建術後の遠隔予後
吉田 博希和泉 裕一眞岸 克明田中 和幸久保田 宏
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2002 年 31 巻 4 号 p. 262-265

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抄録

過去7年間に血行再建術を施行した下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)血行再建症例127例を対象にその生命予後を検討した.男性108例,女性19例で,初回手術時の年齢は49~88歳,平均71.2歳であった.虚血性心疾患を21%,糖尿病を20%に合併していた.Follow up期間は0~90ヵ月(平均33ヵ月),follow up率は95%であった.手術死亡は2例(1.6%),遠隔死亡は29例で,全体の術後5年生存率は69.7%であった.男性の5年生存率は71.6%,女性は62.3%で両群間に有意差はなかった.虚血性心疾患合併例の5年生存率は57.0%,非合併例は74.2%,糖尿病合併例は65.5%,非合併例は70.9%でいずれも統計学的有意差はなかった.下肢の大切断を余儀なくされたものは7例で,それらの1年生存率は42.9%で,非切断例の93.0%に比べ明らかに生命予後が不良であった(p<0.01).

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