日本心臓血管外科学会雑誌
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左心耳より遊離する過程を観察しえた僧帽弁置換術後の左房内球状血栓の1例
濱本 浩嗣宮本 伸二穴井 博文迫 秀則岩田 英理子重光 修葉玉 哲生
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2002 年 31 巻 5 号 p. 356-358

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抄録

遊離球状血栓症は希な疾患であり,とくに僧帽弁置換術後の報告は少ない.症例は58歳,男性.1981年に僧帽弁置換術を受けていた.貧血の精査で出血性胃悪性腫瘍を発見され,抗凝固療法を中止された.当科紹介時に左心耳内に血栓を認めたが,人工心肺中の胃癌からの出血が危惧され,まず胃全摘術を施行された.術後腸閉塞,誤嚥性肺炎,人工呼吸器装着を契機に左心耳内の血栓がはずれ,遊離球状血栓となったが緊急手術により救命しえた.遊離球状血栓の発生機序はいまだ明確ではないが,今回,左心耳より遊離する過程を観察し,その発生機転を確認できた僧帽弁置換術後の左房内球状血栓の1例を経験したので報告する.

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