日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
腹部大動脈瘤術後吻合部仮性動脈瘤十二指腸穿破の1救命例
佐々木 康之磯部 文隆衣笠 誠二岩田 圭司文元 建宇加藤 泰之有元 秀樹秦 広樹
著者情報
ジャーナル フリー

2002 年 31 巻 5 号 p. 363-366

詳細
抄録
症例は63歳,男性で8年前に施行された腹部大動脈瘤(AAA)に対する人工血管置換術中枢側吻合部の仮性動脈瘤に大量の下血を合併し緊急入院となった.腹部CTで中枢側吻合部に7.0cm大の仮性動脈瘤を認め,胃カメラでは十二指腸下行部までに出血源は認められず,仮性動脈瘤の十二指腸水平部への穿破と診断し緊急手術を施行した.Spiral positionとし,胸腹部大動脈瘤のapproachで仮性動脈瘤を露出した.中枢側吻合部が全周にわたり離断され仮性動脈瘤が形成されていた.新しい人工血管で腎動脈直下腹部大動脈と古い人工血管との間にinterpositionした.十二指腸水平部で仮性瘤と瘻孔を形成しており,穿孔部を小腸パッチにて修復した.術後経過は良好で,術後14ヵ月現在感染の所見なく経過している.本邦においては,AAA術後の中枢側仮性動脈瘤の十二指腸への穿破例に対する手術報告例は少なく報告した.
著者関連情報
© 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top