日本心臓血管外科学会雑誌
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腸腰筋膿瘍を合併した感染性腸骨動脈瘤に対する自家浅大腿静脈を用いたin situ血行再建術の経験
吉田 正人志田 力向原 伸彦大保 英文谷村 信宏中桐 啓太郎圓尾 文子松久 弘典
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2003 年 32 巻 2 号 p. 112-115

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抄録
腸腰筋膿瘍を合併した感染性腸骨動脈瘤に対して自家浅大腿静脈グラフトを用いたin situ血行再建術を施行し良好な結果が得られたので報告する.症例は73歳,男性.発熱と左下腹部痛を主訴に他院入院となり,入院後の腹部CT検査にて左腸骨動脈瘤の破裂が疑われたため当科緊急入院となった.入院時の血液検査にて高度の炎症所見が認められたことと造影CT所見より,腸腰筋膿瘍を合併した感染性腸骨動脈瘤と診断された.人工血管による血行再建術はグラフト感染の危険性が高いことから,自家静脈である右浅大腿静脈を採取し,血行再建術を行うこととした.手術は,瘤切除ならびに腸腰筋内の膿瘍腔をdébridementしたのちに,浅大腿静脈グラフトを使用してin situにて左腸骨動脈の血行再建術を行った.現在,術後1年6ヵ月が経過しているが再感染の徴候もなく順調に経過している.
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