日本心臓血管外科学会雑誌
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32 巻, 2 号
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  • 山崎 武則, 伊藤 敏明, 中山 智尋, 櫻井 浩司, 中山 雅人, 増本 弘, 矢野 洋, 阿部 稔雄
    2003 年 32 巻 2 号 p. 59-63
    発行日: 2003/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    心臓後下面領域への冠血行再建を容易にするために右心バイパス(right heart bypass, RHB)を用いた心拍動下のCABGを1999年11月より導入した.その有用性や周術期の問題点について明らかにするため,RHB使用下に行ったCABG 77例(RHB群)と同時期のOPCAB症例(OPCAB群)30例との比較検討を行った.両群の患者背景に有意差を認めず,入院死亡は認めなかった.バイパス枝数はRHB群2.4±0.6本,OPCAB群2.0±0.2本であった(p=0.002).心臓脱転前後のSvO2の変動は横隔膜面領域,後側面領域ともRHB群で有意差をもって良好な値を保つことができた.肺動脈圧の変動は有意差は認められなかったものの,RHB群でその上昇度が少ない傾向にあった.術中水分出納はRHB群が有意に高値を示し,術後体温はRHB群で低い傾向にあった.しかし出血量,輸血量に有意差はなく,その後の呼吸機能(Aa-DO2,人工呼吸時間),ICU滞在時間,術後在院期間にも影響を与えなかった.RHBを使用することにより良好な視野が得られ,後下面領域への血行再建率が上昇した.関連する合併症を認めず,本法は心拍動下の多枝CABGを容易とし血行再建率を上げる有効な補助手段であると考えられた.
  • 松村 洋高, 森田 紀代造, 木ノ内 勝士
    2003 年 32 巻 2 号 p. 64-68
    発行日: 2003/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    骨格筋ポンプ(skeletal muscle ventricle: SMV)を用いた右心バイパスモデルの肺循環代行の可能性について検討した.対象はビーグル犬5頭(体重9.8±0.7kg).左側広背筋を用いてSMVを作製し,8週間のpreconditioning後,人工心肺下に右房-SMV-肺動脈の右心バイパスルートを作製し,胸背神経に高頻度burst刺激を与え,SMVを駆動し,大動脈圧(AoP),肺動脈圧(PAP),中心静脈圧(CVP),肺動脈血流量(PA flow)を測定した.SMV駆動によりCVPは17±1.4mmHgから13.5±0.7mmHgに有意に低下し,PAPは20±2.8/19±1.6mmHgが37.5±4.9/18±2.1mmHgへと上昇した.人工心肺離脱後,肺血管抵抗は5.9±1.5Wood unitに上昇したが,SMV駆動によりCVPは低下し,術前と同程度のPA flowが得られた.胸腔内SMVを用いた右心バイパスシステムは高肺血管抵抗を伴うFontan手術適応外の重症単心室症ならびに単心室類似疾患に対する新しい治療法となる可能性が示唆された.
  • LAST-MIDCABの有用性
    割石 精一郎, 西森 秀明, 福冨 敬, 小田 勝志, 籏 厚, 半田 武巳, 笹栗 志朗
    2003 年 32 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 2003/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    1999年1月から2001年12月までの3年間に経験した冠状動脈バイパス再手術症例25例を対象とし,術式選択,手術成績の検討を行った.術式として,病変が左前下行枝(LAD)のみの症例,もしくは,心筋シンチ検査でLAD領域のみに虚血が証明された症例には,左前小開胸低侵襲冠状動脈バイパス術(off-pump LAST MIDCAB: LAST-MIDCAB)を選択し,15例に施行した.LAD領域以外にも虚血のある症例,もしくは,先行手術がLAST-MIDCABであった症例には,on-pump median sternotomy CABG (on-pump CABG)を選択し,9例に施行した.On-pump CABGの予定で開始した1例は,胸骨再切開時に右室損傷を認め,on-pump LAST CABGに移行した.LAST-MIDCAB群では,on-pump CABG群に比べ,手術時間,術後在院日数,同種血輸血率が少なかった(p<0.05).LAST-MIDCAB群では,慢性関節りウマチ(RA)に関連する肺線維症の増悪を1例に認めた以外は,とくに術後合併症を認めなかったが,on-pump CABG群では,LOS3例,再開胸止血術1例,MRSA縦隔洞炎1例,PAf2例,皮下感染1例の術後合併症を認めた.再手術においてもLAST-MIDCABは低侵襲であり,とくにLAD領域のみに虚血を認める症例では,積極的に採用すべき術式であると考える.
  • 続報
    山村 光弘, 八百 英樹, 宮本 巍
    2003 年 32 巻 2 号 p. 75-78
    発行日: 2003/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    われわれは,すでにTNF-α産生阻害剤でp38 mitogen-activated protein kinase阻害剤でもあるFR-167653(Fujisawa Pharm. Co., Ltd., Osaka)によって,ラットinterposition vein graftモデルにおける術後内膜肥厚が抑制される可能性を報告した.今回,FR-167653の投与時期および投与量を変えて比較検討し,術後内膜肥厚を抑制する作用機序について考察した.顕微鏡手術下にLewisラット(雄,484±5g)の総大腿動脈に腹壁静脈グラフトを端々吻合した.手術開始直前にFR-167653 2.0μg/gを腹腔内投与した群(単回投与群,n=5),直前および術後2週目に追加投与した群(追加投与群,n=5),4.0μg/gを直前に投与した群(倍量投与群,n=5),同量の生理食塩水を投与した群(コントロール群,n=6)の4群に分け,術後内膜肥厚の程度を比較検討した.術後4週目に腹壁静脈グラフトを採取し,コンピューター画像処理(NIH Image Ver. 1.61)により内膜断面積を測定した.術後内膜肥厚はコントロール群0.43±0.05mm2で,単回投与群0.16±0.06mm2(p<0.01),追加投与群0.25±0.02mm2(p<0.01),倍量投与群0.05±0.02mm2(p<0.001)と,コントロール群に比し有意に抑制された.本研究によって,FR-167653が,ラットinterposition vein graftモデルにおいて術後内膜肥厚を抑制する効果を有することが明らかになった.
  • 林 載鳳, 高畑 修治
    2003 年 32 巻 2 号 p. 79-82
    発行日: 2003/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    Methylprednisolone (MP)の抗炎症作用に注目し,人工心肺を使用する冠状動脈バイパス(CABG)手術における全身性炎症反応症候群(SIRS)抑制効果について検討した.対象は待機的CABG手術を行った33例で,人工心肺開始前にMPを30mg/kg静注した11症例をHD-MP群(high-dose MP群),MPを5mg/kg静注した11症例をLD-MP群(low-dose MP群),MPを使用しなかった11症例をN-MP群(non-MP群)とし,3群間の比較・検討を行った.術後のSIRS継続日数はHD-MP群とLD-MP群はN-MP群に比べて同程度に短く,低用量のMPでもSIRS短縮効果のあることが示された.インターロイキン6,同8(IL-6/IL-8)はHD-MP群とLD-MP群はN-MP群に比べて同程度に低値であり,低用量のMPでも十分なインターロイキン産生抑制効果をもつことが示された.ただし,心機能障害の指標としてのカテコラミン使用の総量,肺機能障害の指標としての挿管日数,肝機能障害の指標としてのGPT/D-Bil値異常の有無,腎機能障害の指標としてのBUN/Cr値の異常などに関しては3群間で有意差を認めず,MPの各種臓器保護作用は明らかでなかった.術後白血球数の最高値は,HD-MP群がN-MP群より高値を示した.人工心肺を使用するCABG手術において,低用量(5mg/kg)のMPの使用は,感染の危険性を増加させることなく,SIRS期間とIL-6,IL-8の産生を抑制することが可能であった.
  • 眞岸 克明, 和泉 裕一, 光部 啓治郎, 中西 啓介, 久保田 宏
    2003 年 32 巻 2 号 p. 83-85
    発行日: 2003/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    今回,われわれは,大動脈四尖弁に伴う大動脈弁閉鎖不全症の弁置換術を経験したので報告した.症例は,63歳男性で心原性ショック発症後の精査で大動脈弁閉鎖不全症の診断となり,経食道心エコーで大動脈四尖弁を認めた.手術所見では,大動脈弁左冠尖と無冠尖の間にやや小さなaccessory cuspを有する四尖弁を認めた.Hurwitzらの分類ではtype bに相当すると考えられた.手術は大動脈弁を切除し,Edward-MIRA 21mm弁で置換した.術後経過に問題なく,元気に社会復帰した.大動脈四尖弁は希な疾患であるが閉鎖不全を伴うことが多く,文献的検討を加え報告した.
  • 坂口 昌幸, 竹村 隆広, 島村 吉衛, 津田 泰利, 岩朝 静子
    2003 年 32 巻 2 号 p. 86-89
    発行日: 2003/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura: ITP)を合併した狭心症患者に,人工心肺を用いない冠動脈バイパス術(off-pump CABG)を施行した1例を経験した.症例はITPの既往がある63歳男性.胸痛を主訴に来院.冠動脈造影検査で左冠動脈主幹部に90%狭窄を認め,軽動作で胸痛が頻回となるため早急な手術が考慮された.このとき血小板が2.3万/mm3であった.大量γグロブリン投与を開始し第3日後血小板4.1万/mm3と軽度回復したところで,準緊急でoff-pump CABG×2(LITA-LAD,rad A-Cx)を施行した.術中術後出血の合併症はなく,経過は良好でバイパスは開存していた.最近のoff-pump手術手技の進歩とその低侵襲を考慮すると,ITP合併症例の冠動脈バイパス手術では,術前のγグロブリン大量静注療法と,人工心肺を用いない心拍動下手術の組み合わせは,出血を最小に抑えることが可能で,本疾患合併症例に有用な戦略になると考えられた.
  • 吉田 聖二郎, 佐久間 啓, 小田 克彦
    2003 年 32 巻 2 号 p. 90-93
    発行日: 2003/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    炎症性大動脈瘤が胸部大動脈に発生することはきわめて希である.症例は58歳男性で,労作時の胸痛を主訴に精査目的で入院した.心臓カテーテル検査とCT検査から,冠状動脈#6:99%,#9:90%の狭窄病変と,径55mmの真性遠位弓部大動脈瘤と診断され,冠状動脈バイパス手術と弓部大動脈人工血管置換の合併手術を施行された.術中所見で,弓部大動脈瘤壁は高度に肥厚,石灰化し周囲組織と強固に癒着していたため,遠位吻合は最小限の剥離で可能なinclusion法で行った.術後経過は良好で,第35病日に退院した.病理組織学的検査では,著明な繊維化肥厚とりンパ球,プラズマ細胞,マクロファージの浸潤が認められ,炎症性弓部大動脈瘤と診断された.
  • 内藤 洋, 川田 哲嗣, 坂口 秀仁, 多林 伸起, 上田 高士, 平井 勝治, 福岡 篤彦, 谷口 繁樹
    2003 年 32 巻 2 号 p. 94-97
    発行日: 2003/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    心大血管術後の呼吸不全に対して,挿管することなくマスクを用いて陽圧換気を行う非侵襲的陽圧換気法(NIPPV)を施行し,良好な結果を得た.症例1:63歳,男性.COPDを合併した弓部大動脈瘤に対して人工血管置換術を施行した.術後5日目に抜管したが,COPDの急性増悪のため,再挿管となった.抜管後の呼吸補助を目的に,術後14日目にNIPPVを開始した.徐々に圧補助を減らし,18日目にNIPPVから離脱しえた.症例2:67歳,男性.狭心症に対して冠状動脈バイパス術を施行した.術翌日に抜管したが,3日目に無気肺による低酸素血症となった.高濃度酸素投与および持続陽圧呼吸目的にNIPPVを開始した.速やかに症状の改善を認め,術後7日目にNIPPVから離脱しえた.NIPPVは心大血管術後の呼吸不全に対して有用であり,積極的に試みてもよいと思われた.
  • 過去10年間の本邦報告例を含めて
    阪口 正則, 末広 茂文, 柴田 利彦, 服部 浩治, 平居 秀和, 藤井 弘通, 青山 孝信, 生田 剛士
    2003 年 32 巻 2 号 p. 98-101
    発行日: 2003/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は64歳男性で,急性心筋梗塞に伴う高度心不全の診断で当院へ搬送された.心エコー検査で,僧帽弁後乳頭筋断裂による急性僧帽弁閉鎖不全と診断した.搬送時よりショック状態にあり,腎機能低下がみられたため冠動脈造影を施行せず,大動脈内バルーンパンピング駆動下に緊急手術を施行した.手術時,後乳頭筋の僧帽弁前尖が付着する筋束に完全断裂がみられ,高度の前尖逸脱を認めた.前尖を切除し後尖は温存してSt. Jude Medical®(29mm)弁で僧帽弁を置換した.術後急性期に心室性不整脈が多発し管理に難渋したが,その後は著変なく経過した.退院前に施行した冠動脈造影では有意の狭窄を認めなかった.僧帽弁乳頭筋断裂により重篤な心不全を呈する症例は,心エコー検査で診断がつきしだい,早急に手術を行うことが救命には重要である.
  • 中谷 充, 渡辺 裕之, 平野 雅生, 西田 洋文
    2003 年 32 巻 2 号 p. 102-104
    発行日: 2003/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.僧帽弁閉鎖不全に対する手術目的で当科を紹介された.2年4ヵ月前に脳血栓の既往があり,右内頸動脈起始部に80%狭窄を認めた.まず頸動脈病変に対し,PTAとステント留置を行った.60%狭窄が残存したが心不全症状が増悪したため,2ヵ月後に僧帽弁形成術を行った.IABPを用いて体外循環中の灌流圧を高く維持し脳合併症を回避できたので報告した.
  • 加納 幹浩, 石原 浩, 内田 直里, 住吉 辰朗
    2003 年 32 巻 2 号 p. 105-107
    発行日: 2003/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    慢性肺塞栓を合併した右房腫瘍の1切除例を経験した.患者は68歳男性,主訴は呼吸困難と全身倦怠感であった.心電図と肺シンチグラムで肺塞栓症と診断され,X線CT検査および心エコー検査にて右心房内腔を占拠する腫瘍が発見され,肺塞栓症の原因と診断した.肺塞栓症の再発で,重症化することを危惧し,腫瘍を摘出した.手術中の腫瘍塞栓発症を防ぐため,可能な限り腫瘍摘出前の右心房に直接触れないよう配慮し,体外循環施行にさいして,脱血管は直接上大静脈へと,右大腿静脈から下大静脈へとそれぞれ挿入した.腫瘍は周囲の右心房壁と一塊に摘出した.病理学的検査では右心房壁原発の粘液腫と診断された.術後経過は良好で16日で軽快退院したが,転移や再発の可能性があり,長期にわたる経過観察が必要である.
  • 村山 順一, 吉戒 勝, 蒲原 啓司, 久松 泰
    2003 年 32 巻 2 号 p. 108-111
    発行日: 2003/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    症例は70歳女性.上腹部痛を主訴に来院.CT上,下大静脈に接して径6cm大の腫瘤を認めた.静脈造影では,下大静脈は完全に閉塞しており,発達した側副血行路により静脈還流が保たれていた.腫瘍を含めた下大静脈と右腎および左腎静脈の一部を一塊として摘出し,血行再建は行わなかった.病理診断は,下大静脈原発の平滑筋肉腫だった.術後しばらくの間人工透析を必要としたが,維持透析には移行せず現在経過観察中である.中部発生の下大静脈原発平滑筋肉腫は,両腎に浸潤し,腎静脈還流を再建できない可能性があるため,術前に血管造影を行い,側副血行路を確認し,術中これらを可及的に温存することが重要であると考えられた.
  • 吉田 正人, 志田 力, 向原 伸彦, 大保 英文, 谷村 信宏, 中桐 啓太郎, 圓尾 文子, 松久 弘典
    2003 年 32 巻 2 号 p. 112-115
    発行日: 2003/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    腸腰筋膿瘍を合併した感染性腸骨動脈瘤に対して自家浅大腿静脈グラフトを用いたin situ血行再建術を施行し良好な結果が得られたので報告する.症例は73歳,男性.発熱と左下腹部痛を主訴に他院入院となり,入院後の腹部CT検査にて左腸骨動脈瘤の破裂が疑われたため当科緊急入院となった.入院時の血液検査にて高度の炎症所見が認められたことと造影CT所見より,腸腰筋膿瘍を合併した感染性腸骨動脈瘤と診断された.人工血管による血行再建術はグラフト感染の危険性が高いことから,自家静脈である右浅大腿静脈を採取し,血行再建術を行うこととした.手術は,瘤切除ならびに腸腰筋内の膿瘍腔をdébridementしたのちに,浅大腿静脈グラフトを使用してin situにて左腸骨動脈の血行再建術を行った.現在,術後1年6ヵ月が経過しているが再感染の徴候もなく順調に経過している.
  • 平野 弘嗣, 安達 勝利, 天白 宏典, 佐藤 友昭, 佐々木 俊哉, 矢田 公
    2003 年 32 巻 2 号 p. 116-119
    発行日: 2003/03/15
    公開日: 2009/08/21
    ジャーナル フリー
    今回われわれは本邦初と思われるESWL(体外衝撃波結石破砕術)が原因と考えられた腹部大動脈仮性瘤の1治験例を報告する.症例は47歳の男性.7年前より再発する両側腎・尿管結石にて当院泌尿器科にて治療を受けていた.この間,計10回のESWLを受けた.最近になり腰部から仙骨部にかけて痛みが出現したため,腹部CT撮影を施行したところ,最大径5.3cmで,大動脈の背面に嚢状に突出する形状をした腎動脈下腹部大動脈瘤を認めた.術中所見では動脈瘤の内部の大動脈後壁に3×1cmの裂孔が存在し,同部より大動脈の背面に嚢状瘤を形成していた.本症例は腎・尿管結石に対し,頻回にESWLを受けており,ESWLが腹部大動脈仮性瘤の原因として考えられた.
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