日本心臓血管外科学会雑誌
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冠動脈疾患を合併した炎症性遠位弓部大動脈瘤の1手術例
吉田 聖二郎佐久間 啓小田 克彦
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2003 年 32 巻 2 号 p. 90-93

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抄録
炎症性大動脈瘤が胸部大動脈に発生することはきわめて希である.症例は58歳男性で,労作時の胸痛を主訴に精査目的で入院した.心臓カテーテル検査とCT検査から,冠状動脈#6:99%,#9:90%の狭窄病変と,径55mmの真性遠位弓部大動脈瘤と診断され,冠状動脈バイパス手術と弓部大動脈人工血管置換の合併手術を施行された.術中所見で,弓部大動脈瘤壁は高度に肥厚,石灰化し周囲組織と強固に癒着していたため,遠位吻合は最小限の剥離で可能なinclusion法で行った.術後経過は良好で,第35病日に退院した.病理組織学的検査では,著明な繊維化肥厚とりンパ球,プラズマ細胞,マクロファージの浸潤が認められ,炎症性弓部大動脈瘤と診断された.
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