日本心臓血管外科学会雑誌
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閉塞性動脈硬化症の下肢血行再建術症例における冠動脈狭窄病変と脳血管障害
冠動脈造影と頭部CT検査の有用性
桜田 徹柴田 芳樹
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2003 年 32 巻 3 号 p. 126-131

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抄録

閉塞性動脈硬化症(ASO)の下肢血行再建術症例に対し,術前に冠動脈造影,頭部CT検査を施行し,心疾患や脳梗塞の合併について検討した.冠動脈造影を術前施行した101例(68.4±8.0歳,男88/女13)中,71例(70.3%)に狭窄病変を認めた.主要3分枝に有意狭窄を有するものは35例で(陳旧性心筋梗塞13例を含む),冠動脈バイパス術を2例,PTCAを7例に施行した.対象症例中57例(臨床的脳梗塞21例を含む)に頭部CT検査を施行し,皮質梗塞9例,穿通枝梗塞35例,leukoaraiosis27例など画像診断異常を52例(91.2%)に認めた.遠隔期死亡は13例(心筋梗塞死3例,脳血管疾患死3例など)で,5年累積生存率は80.4%であった.ASOでは合併の多い虚血性心疾患,脳血管障害が周術期,術後予後に及ぼす影響は大きく,術前の画像診断法をもとに手術法の検討や綿密な全身管理が肝要と考えられた.

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