人工血管感染に対し,凍結保存homograftを使用し良好な結果が得られたので報告する.症例は70歳,男性で,胸部下行大動脈瘤に対し,左開胸により胸部下行置換術を施行した.術後炎症反応が遷延化し,血液培養でMethicillin-resistant
Staphylococcus aureus (MRSA)陽性となったが抗生剤投与により軽快したため,外来で経過観察としていた.術後192日目炎症反応の増悪と血液培養でMRSAが同定され再入院となった.CT検査で,人工血管に沿って膿瘍を認め,胸腔内洗浄,開胸ドレナージ,ポピドンヨード液ガーゼパッキングを3日間行ったのち,凍結保存homograftによる胸部下行再置換術を行った.再手術後炎症反応は改善し,現在再手術後14ヵ月経過しているが,感染の兆候はなく,homograftの拡張および仮性動脈瘤なども認めていない.
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