日本心臓血管外科学会雑誌
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急性心筋梗塞後心室中隔穿孔閉鎖術19年後に施行したDor手術の1例
越田 嘉尚大橋 博和堤 泰史河合 隆寛藤井 弘通大中 正光
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キーワード: linear法, Dor法, 再手術
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2003 年 32 巻 4 号 p. 243-245

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抄録

症例は70歳男性.1982年に前壁中隔領域の急性心筋梗塞後の心室中隔穿孔に対してlinear法にてVSP閉鎖術を施行されている.軽快退院後外来経過観察中であった.術後19年目に心不全をきたし再入院.心カテーテル検査にて広範囲な左室心尖部および中隔側のasynergyを認めた.LVEF39%,LVEDV200mlであった.手術は体外循環,心室細動下にDor手術と左回旋枝への1枝バイパスを行った.術後経過は良好で,術後33日目に軽快退院した.前回の手術ではlinear法を用いて左室切開線を閉鎖した結果,遠隔期に広範囲akinesisを認めるにいたった.今回Dor手術を行い,術後著明な改善が認められた.このことは,linear法による瘤切除よりもDor手術の優位性を示すものと考えられた.

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