日本心臓血管外科学会雑誌
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特発性食道破裂と同時発症が疑われた腹部限局大動脈解離の1例
中西 啓介和泉 裕一眞岸 克明光部 啓治郎久保田 宏
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2003 年 32 巻 4 号 p. 246-249

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抄録

症例は47歳男性.平成13年2月13日特発性食道破裂の診断で緊急食道破裂部縫合閉鎖が当院外科で施行された.術後腹部CTで腎動脈下大動脈から右総腸骨動脈までの解離が認められた.大動脈の最大径は3.0cm,右総腸骨動脈の最大径は2.5cmで偽腔は開存していた.手術は右後腹膜経路でアプローチ,腎動脈下で大動脈を遮断し瘤壁を切開したところ右前方に偽腔が存在しエントリーまたはりエントリーと思われる交通孔が3ヵ所存在した.腎動脈下大動脈から両側腸骨動脈までY型人工血管で置換を行った.術後経過は良好で術後15日目に退院した.本症例では食道破裂時以外に強い疼痛の既往がないことなどから特発性食道破裂と同時に腹部限局大動脈解離が発症した可能性が考えられた.

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