日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
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Lateral MIDCABを用いた再冠状動脈バイパス術
Graft,inflow,およびgraft経路の選択における工夫
早田 義宏川田 哲嗣坂口 秀仁多林 伸起吉川 義朗長阪 重雄上田 高士阿部 毅寿森田 耕三谷口 繁樹
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2003 年 32 巻 5 号 p. 318-321

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抄録

冠状動脈バイパス術後遠隔期に回旋枝領域の虚血が出現した3症例に対し,左開胸心拍動下冠状動脈バイパス術(lateral MIDCAB)を用いて再冠状動脈バイパス術を行い良好な結果を得たので報告する.症例1)52歳男性,初回手術後11年目に狭心症が再発した.胸部下行大動脈をinflowとして肺門下経路を通した橈骨動脈(RA)を用いて,後側壁枝(PL)と鈍縁枝(OM)にsequential bypassを行った.症例2)67歳男性,初回手術後7年目に狭心症が再発した.RAでT-composite graftを作製し,胸部下行大動脈をinflowとして肺門下経路を通してPLとOMの血行再建を行った.症例3)69歳男性,初回手術後10年目に狭心症が再発した.胸部下行大動脈に全長にわたる高度石灰化を認めたため,左腋窩動脈をinflowとして大伏在静脈(SVG)を肺門前経路を通し,開存していたSVG-PLバイパスへ端側吻合した.回旋枝領域への再冠状動脈バイパス術を行う場合に,lateral MIDCABは非常に有用であるが,graftやgraft経路,inflwの選択には工夫を要すると考えられる.

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