日本心臓血管外科学会雑誌
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超高齢者破裂性腹部大動脈瘤の1治験例
荻野 隆史金子 達夫佐藤 泰史江連 雅彦長谷川 豊稲葉 博隆山岸 敏治大木 茂森下 靖雄
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2003 年 32 巻 5 号 p. 322-324

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抄録
症例は93歳,女性.超高齢者破裂性腹部大動脈瘤の患者に緊急手術を施行し良好な結果を得た.搬入時ショック状態のため,カテコラミン投与し緊急手術を行った.腹部大動脈瘤は腎動脈から2cm末梢に始まり最大径は10cm,分岐部直上で瘤は終わっており,瘤背側より左総腸骨動脈領域の後腹膜腔へ大量の血腫を形成していた.両側総腸骨動脈の高度石灰化がみられたため,分岐直下で両側総腸骨動脈を閉鎖し,末梢側は両側外腸骨動脈に端側吻合した.超高齢者で,ショックを伴った破裂症例であったが救命しえた.破裂症例に対しては人工血管置換術のほうがステントグラフト挿入術より現時点では好ましいと考える.
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