日本心臓血管外科学会雑誌
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三腔構造を呈する慢性B型解離に急性A型解離が重複した1例
村山 順一濱田 正勝麓 英征
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2003 年 32 巻 6 号 p. 378-381

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抄録

症例は41歳,女性.胸痛と呼吸苦を主訴に来院.CTにて慢性B型三腔解離に重複した急性A型解離と診断し,緊急手術を施行した.右腋窩動脈の内腔が狭小化していたため,大腿動脈からのみ送血し,上行大動脈を人工血管にて置換した.病理組織上,中膜壊死や血管炎などの所見は認めなかった.経過は良好で,現在外来で二期手術に対し経過観察中である.三腔解離は通常の解離と比べ残存解離腔の拡大をきたしやすく,また破裂の可能性も高いとされており,可及的早期の二期手術が必要である.三腔構造を伴う重複大動脈解離に対する手術を行うさいには,malperfusion防止のため主要分枝の分岐の確認と,体外循環の送血部位の選択が重要である.

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