2004 年 33 巻 3 号 p. 171-174
70歳,男性にmaze変法と僧帽弁形成術を施行した.弁形成は病変の矩形切除,Reed法とCosgrove ringを用いた弁輪縫縮を施行した.体外循環離脱時に僧帽弁前尖の収縮期前方運動(SAM)とこれに伴う僧帽弁逆流が出現した.保存的に経過を観察し,術後11日にはSAMと僧帽弁逆流は消失していた.過剰な弁輪縫縮と小さいリングが外科的因子として考えられる一方で,一過性の因子としてカテコラミンの使用,左室拡張障害に伴う左室容量低下,心房収縮の消失などがSAMの原因として考えられた.