日本心臓血管外科学会雑誌
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高齢者における急性心筋梗塞後左室自由壁破裂の1例
心停止下左室自由壁破裂修復術,CABG3枝の1治験例
吉武 勇畑 博明服部 努宇野澤 聡奈良田 光男塩野 元美根岸 七雄瀬在 幸安
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2004 年 33 巻 3 号 p. 166-170

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抄録

症例は85歳,男性,主訴胸痛.心電図にてII,III,aVF,V3~V6のST低下,I,aVLのST上昇,異常Q波の出現を認め,緊急冠動脈造影を施行した.左冠動脈主幹部#575%狭窄,左前下行枝#775~90%狭窄,対角枝#9-1完全閉塞,左回旋枝#1175%狭窄,右冠動脈#375%狭窄(LMT+TVD)を認めたが高齢のため保存的加療を選択した.発症39時間後に突然ショック状態となり経胸壁心エコーにて心嚢液貯留を認め心破裂と診断,気管内挿管後心嚢穿刺ドレナージ施行(150mlの血液吸引)し血行動態は改善した.当院へ搬送し,on pump,心停止下LVFWR修復術(sutureless techniqueによる被覆法),CABG3枝の同時手術を施行した.術後経過良好にて第40病日に退院した.本症例ではLMT+TVDを認めon pump,心停止下にLVFWR修復術,CABGの同時手術を行ったが,sutureless techniqueを用いることで手術時間の短縮が可能で,CABGの併施により術後心機能の改善を認め,左室の瘤状拡大や拡張障害は認めなかった.On pump,心停止下LVFWR修復術(sutureless techniqne)およびCABGのコンビネーションを用いることで,高齢者であっても安全にqualityの高い手術が可能であった.

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