抄録
症例は77歳,男性.右大腿部の疼痛と腫脹を主訴に来院した.身体所見にて右大腿部に拍動性腫瘤を認めた.造影CT上径7cmの右浅大腿動脈瘤が確認され,その周囲にはガス像を認め,感染性浅大腿動脈瘤と診断,緊急手術を行った.瘤切除と縫工筋,大腿四頭筋の一部を含めたデブリドマン,そして感染部を迂回する皮下経路で外面補強人工血管による血行再建を施行した.瘤壁の培養よりCitrobacter koseriが検出されたため,術後は感受性のある抗生剤を全身投与した.局所的には瘤切除部を術後7日目より開放創とし,洗浄とデブリドマンを行うことで管理し,術後37日目に独歩退院した.浅大腿動脈中間部に位置し,周囲に大きく波及した感染瘤であったため,血行再建の経路が限られたが速やかな外科的処置により良好な結果が得られた.