日本心臓血管外科学会雑誌
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下肢虚血を伴ったStanford A型急性大動脈解離の1手術例
分枝グラフトを利用した新しい下肢血行再建法について
武内 重康藤田 久徳中島 伸之
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2004 年 33 巻 3 号 p. 213-215

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抄録
症例は32歳,男性.胸背部痛とそれに続く手足のしびれにて発症した.両側大腿動脈以下脈拍を触知せず,両下肢の冷感,チアノーゼを認めた.造影CT検査にてStanford A型解離の所見を認め,下肢虚血を伴うStanford A型急性大動脈解離と診断し,緊急手術を施行した.超低体温併用脳分離体外循環,open distal anastomosis法,elephant trunk法を併用し,4分枝付き人工血管を使用して,上行弓部置換術を施行した.胸部大動脈再建後も,両下肢虚血は改善せず,順行性送血用分枝グラフトをinflowとして利用した新しい下肢血行再建術を施行し良好な結果を得た.われわれの考案した分枝グラフトを利用した新しい下肢血行再建法は,簡便で有用な追加術式と思われた.
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