日本心臓血管外科学会雑誌
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弓部大動脈人工血管置換術施行後に術中肺動脈破裂をきたした大動脈瘤肺動脈穿通の1治験例
吉田 正人向原 伸彦大保 英文中桐 啓太郎南 裕也花田 智樹圓尾 文子松久 弘典森本 直人志田 力
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2004 年 33 巻 6 号 p. 403-406

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抄録
症例は70歳,女性.遠位弓部大動脈瘤に対して,脳分離体外循環下に弓部大動脈人工血管置換術を行ったが,閉胸時に突然,肺動脈主幹部からの出血でショックとなった.出血部を用手的に圧迫しつつただちに体外循環を再開し,心停止下に肺動脈を検したところ,肺動脈主幹部から左主肺動脈近位部の頭側の後壁よりの肺動脈壁が長さ3cmにわたって縦に裂開していた.裂開部は自己心膜にて修復した.本症例は,術前のCT検査所見で径88mmの巨大な遠位弓部大動脈瘤が肺動脈を著明に圧迫していたことから,弓部大動脈人工血管置換後に動脈瘤による圧迫が解除され,壁在血栓によって閉塞されていた大動脈瘤肺動脈穿通部から出血したものと考えられた.術前に左右シャント血流がなく壁在血栓によって閉塞していた大動脈瘤肺動脈穿通部から,術中に肺動脈破裂をきたしたきわめてまれな合併症を経験したので報告する.
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