日本心臓血管外科学会雑誌
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心タンポナーデを呈した巨大な新生児心嚢内奇形腫の1手術例
久貝 忠男竹村 幸洋長田 信洋
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2004 年 33 巻 6 号 p. 407-409

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抄録
生後5日目の女児,アプガー8点,34週,体重3,460gで出生した.生後2日目より多呼吸,心室性期外収縮,発熱のため当院に紹介入院となった.心エコーと胸部CTにて巨大な腫瘍と多量の心嚢液が心臓を圧迫し,心タンポナーデを呈していた.人工心肺stand-by下で腫瘍を完全に摘出した.腫瘍は上行大動脈から発生し,骨,気管上皮,唾液腺,中枢神経などを有するmature teratomaであった.AFPは術前25,910ng/mlから退院時630ng/ml,さらに現在1.5歳で6.7ng/mlと正常化し,再発傾向もない.心嚢内奇形腫は新生児心臓腫瘍のなかでもまれなもので,かつ進行性の呼吸循環不全に陥るため,救命には早期診断と早期手術が重要である.
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