日本心臓血管外科学会雑誌
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左冠動脈吻合部の仮性動脈瘤に対する到達法
肺動脈幹を切断した1例
古澤 武彦西村 和典柳谷 信之
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2005 年 34 巻 1 号 p. 21-24

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抄録
Marfan症候群の上行大動脈起始部病変に対するBentall法,またはその変法の重篤な合併症の一つとして冠動脈吻合部の仮性動脈瘤が知られている.今回われわれはmodified Bentall法手術後に発生した左冠動脈吻合部の仮性動脈瘤に対し,肺動脈幹を切断した視野で,大伏在静脈(SVG)を用いた左冠動脈主幹部(LMT)の再建術を施行し,良好な結果が得られたので報告する.症例は40歳,女性.34歳でMarfan症候群,大動脈弁輪拡張症,大動脈弁閉鎖不全症,大動脈解離(DeBakey II型),右室梗塞に対し,modified Bentall法手術と#3への冠動脈バイパス術(CABG)を施行された.6年後に失神発作が認められ,精査の結果左冠動脈吻合部の仮性動脈瘤と診断され手術適応となった.肺動脈幹を切断することによってSVGを用いてのLMT再建術を良好な視野で施行することが可能であったので,有用な方法と考えられた.
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