日本心臓血管外科学会雑誌
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急性心筋梗塞に心室中隔穿孔と右室自由壁破裂を合併した2例
古川 智邦高畑 修治林 載鳳
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2005 年 34 巻 1 号 p. 29-32

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抄録
急性心筋梗塞(AMI)に心室中隔穿孔(VSP)と右室自由壁破裂を合併した希な症例を2例経験した.症例1は70歳の女性で,左前下行枝(LAD)#6の完全閉塞に対する経皮的冠動脈内血栓溶解療法後にVSPと心破裂を発症し,心タンポナーデにて死亡した.死後の剖検にて右室自由壁破裂を認めた.症例2は76歳の女性で,LAD#8の完全閉塞に対する経皮的冠動脈インターベンション(ステント内挿術)後6日目にVSPを発症し,二重パッチ法にてVSP閉鎖術を施行した.術中所見にて右室前壁にOozing型の心破裂を認めたため,フィブリノゲン加第13因子製剤で同部の止血術を追加し,術後4週目に軽快退院した.LAD領域のAMIに合併した右室破裂は希であると同時に,われわれが検索しえたかぎりではすべての症例でVSPを伴っていることから,その関連性が示唆された.
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