日本心臓血管外科学会雑誌
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再々手術におけるright parasternal vertical incisionで三尖弁置換術を施行した1症例
高橋 雅弥谷本 欣徳壷井 英敏江里 健輔
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キーワード: 弁膜症, 再手術
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2005 年 34 巻 1 号 p. 33-36

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抄録

再手術時における到達法では正中切開がもっとも頻用されるが,種々の合併症があることも周知の事実である.とくに弁膜症の再手術に関しては,心拡大による癒着のため,心損傷などの合併症が起こりやすい.正中切開以外の到達法として,右前側方開胸がある.われわれの経験では右前側方開胸は術野が深く手術操作が困難であった.このため,right parasternal vertical incision (PVI)を採用した.症例は50歳,女性.主訴は労作時呼吸困難.患者は4度目の開心術であり,過去に僧帽弁置換術,三尖弁置換術を受けている.経過観察中に,三尖弁機能不全を認め,当科紹介となった.CTにて胸骨と右室の癒着が示唆された.手術はPVIにてアプローチした.この右開胸の利点は癒着剥離がほとんど不要なことである.前側方開胸に比較してPVIの利点は,1)術野が浅いこと,2)仰臥位で行えることの2点があげられる.PVIは再手術において有用な到達法であると考えられた.

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