2005 年 34 巻 1 号 p. 37-39
症例は69歳,男性.定期健診で肝機能障害を認め,腹部CTを撮影したところ,偶然右房内腫瘍を認めた.肝実質には異常なく,心臓腫瘍に対して,人工心肺下に腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は,三尖弁からは離れ,心房中隔壁から発生した血液嚢腫であった.嚢腫内には白色血栓が認められた.術後経過良好にて第11病日目に軽快退院となった.腫瘍様病変である血液嚢腫はまれな腫瘍であり,幼児の剖検例に発見されることが多い.本症例は,成人発症,右房壁発生であり,きわめてまれな症例である.