日本心臓血管外科学会雑誌
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急性IIIb型大動脈解離が腹部大動脈瘤に進展し,待機的OPCABとY-グラフト置換術を同時施行した1例
荒木 善盛佐々木 通雄秋田 利明碓氷 章彦西本 和生小林 昌義古森 公浩上田 裕一
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2005 年 34 巻 1 号 p. 55-58

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抄録

腹部大動脈瘤(AAA)壁に,DeBakey IIIb型急性大動脈解離が進展した稀少例を経験した.症例は83歳,男性.突然の胸背部痛を主訴に来院し,緊急の胸腹部造影CT検査を施行した.遠位弓部にentryを認めるIIIb型解離が,最大径8.2cmの腎動脈下腹部大動脈瘤に進展した所見を認めた.破裂の危険性は非常に高いと予測されたが,急性解離に対する保存的治療を優先させ,2ヵ月の厳重な安静降圧治療を行った.冠動脈造影検査で,左前下行枝を含む2枝病変を認めたため,OPCABとY-graftの同時手術を施行した.AAAに解離が進展した例は非常にまれで,破裂の危険があり早期の手術を考慮したが,幸い慢性期に移行させることができ,手術に有利であった.若干の文献的考察を加えて報告する.

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