日本心臓血管外科学会雑誌
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術中心停止にいたった腹部大動脈瘤破裂の1救命例
蓑原 靖一良常深 孝太郎
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2005 年 34 巻 2 号 p. 148-151

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抄録
術中心停止となった破裂性腹部大動脈瘤の救命例を経験した.症例は4年前の冠動脈バイパス術(CABG)と7ヵ月前の胃全摘術の既往のある71歳男性で,破裂性腹部大動脈瘤に対し緊急手術を行った.開腹後心停止となり,左開胸心マッサージを開始した.胸腔内で用手的に大動脈を遮断し,腹部大動脈瘤を切開,瘤内から胸部下行大動脈へ閉塞用バルーンカテーテルを挿入し遮断後,腹部大動脈の剥離を行い,腎動脈下で遮断し直した.心停止から37分後に自己心拍が再開し,Y字人工血管で腎動脈下腹部大動脈を置換した.末梢吻合は両側とも大腿動脈で行った.下腸間膜動脈は再建しなかったが腸管に虚血所見を認めなかった.術後3日間の人工呼吸管理を必要としたが,心不全・腎不全は発症しなかった.神経学的異常は認めず,術後50日目に軽快退院された.開胸直接心マッサージ・胸腔内大動脈遮断・閉塞用バルーンカテーテルの使用が有効であった.
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