日本心臓血管外科学会雑誌
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下行大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術2年後にステントグラフト感染を発症した1例
尾畑 昇悟小宮 達彦田村 暢成坂口 元一増山 慎二木村 知恵里小林 平中村 裕昌
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2006 年 35 巻 1 号 p. 33-36

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抄録

経皮的ステントグラフト留置2年後に発症したステントグラフト感染に対してリファンピシン含浸人工血管を使用し良好な結果を得たので報告する.症例は82歳の男性で,他院で下行大動脈瘤に対する経皮的ステントグラフト内挿術を施行された.2年後に発熱と炎症反応の上昇を認め,CTにて瘤のendoleakを指摘され,また,ガリウムシンチにて瘤に一致した集積を認め,ステントグラフトと残存下行大動脈瘤の感染と診断された.手術は第6肋間を開胸し左心バイパス下に感染したステントグラフトの抜去およびリファンピシン含浸人工血管を用いて人工血管置換術,大網充填術を施行した.術後は一過性の尿路感染を合併したが置換した人工血管に感染の再発を認めず術後45日目に退院,約1年後の現在も再感染の徴候は認めていない.ステントグラフト内挿術の適応は,遠隔期成績・合併症など多くが明らかでない現状では,低侵襲であるという理由での安易な使用を避け,慎重に判断する必要があると考えられた.

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