2006 年 35 巻 3 号 p. 164-167
症例は61歳,男性.脳梗塞で他院入院中に39度台の発熱を認め,造影CTで腕頭動脈仮性瘤と心嚢液を認めたため,当院に転院となった.心嚢穿刺液培養検査で黄色ブドウ球菌を検出した.感染性腕頭動脈仮性瘤と診断し,術前約2週間にわたる抗生剤の投与で炎症反応が改善したのち,手術を施行した.超低体温,循環停止下で瘤を切開すると腕頭動脈起始部に径2cmの欠損孔を認めた.パッチ閉鎖可能と判断し,右腋窩動脈を約3cm採取し自家動脈パッチを作製しパッチ閉鎖した.腋窩動脈は端々吻合で再建した.術後は抗生剤の全身投与に加え,閉鎖式縦隔洗浄で感染コントロールを施行した.術後160日目に軽快退院し,感染再燃の兆候はない.