日本心臓血管外科学会雑誌
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上行・弓部大動脈人工血管置換術後遠隔期に大動脈基部再解離を呈したStanford A型大動脈解離の1例
松山 重文川内 義人土井 一義濱田 正勝
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2007 年 36 巻 2 号 p. 108-111

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抄録
症例は69歳,男性.1995年12月,急性大動脈解離(Stanford A型)のため上行・弓部大動脈人工血管置換術を施行された.2004年10月ころより心不全症状が出現し,近医へ入院し精査をうけたところ,computed tomography(CT),経食道心エコーで大動脈基部の再解離,大動脈弁閉鎖不全症(AR)III°を認め,外科的治療を目的に当院紹介となった.Freestyle#25,full root法により大動脈基部置換術を施行した.術中,無冠尖を主座とした大動脈基部に偽腔の拡大,内膜の一部欠損を認めた.術後,再開胸止血術を要したが,術後23日目に軽快退院となった.肉眼所見よりgeratin-resorcin-formalin(GRF)glueの使用が再解離の発生に関与しているのではないかと思われた.また,Freestyle弁によるfull root法は術後の血行動態の維持に有用であるとともに,抗凝固療法を必要としないため残存解離の存在する本症例では有用な方法だと思われた.
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