日本心臓血管外科学会雑誌
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左室内ball-like thrombusに対する手術例の検討
南 裕也麻田 達郎顔 邦男宗實 孝
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2007 年 36 巻 5 号 p. 248-252

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抄録

左室内血栓は,急性心筋梗塞(AMI)後の合併症であり,全身の塞栓症の原因となりうる.とくに小さな付着茎で左室壁に付着し可動性のある球形を呈したball-like thrombusは脆弱で全身の塞栓症を惹起しやすい.左室内血栓除去術の適応,時期,方法について検討した.対象は2000年1月~2005年8月の間に左室内ball-like thrombusで,左室内血栓除去術を施行した4例である.全例男性で,年齢は42~61歳(平均年齢53.5歳),基礎疾患は,2例が小範囲の心筋梗塞,1例が急性期広範囲心筋梗塞,1例がたこつぼ型心筋症であった.血栓の最大短径は8~25mm(平均15.8mm)であった.同時手術は,3例に冠動脈バイパス術(CABG),2例にMaze手術,1例に僧帽弁輪形成術であった.左室の切開部に対して,3例にフェルト補強を加えた直接閉鎖,1例にinfarction exclusion technique (Komeda-David法)による修復を行った.全例生存し,在院日数は19~84日(平均46日)であった.AMI超急性期症例の左室切開部には,出血のコントロールと左室リモデリング予防という意味で,infarction exclusion technique (Komeda David法)が有用であった.

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