日本心臓血管外科学会雑誌
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巨大胃静脈瘤合併狭心症に対して心拍動下冠動脈バイパス術を施行した1例
軽部 義久孟 真
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2007 年 36 巻 5 号 p. 295-297

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抄録

症例は79歳,女性.2003年8月より労作時息切れがあり,他医で精査の結果,3枝病変の狭心症と診断されたが,胃静脈瘤合併のために手術適応なしとされていた.その後,症状が増悪したため2004年3月当院受診,胃静脈瘤は径30mmと巨大ではあるが発赤所見など認めず出血のリスクは低いと考えられた.また,肝硬変を合併していたが,Child-Pugh分類はgrade Aであり肝機能も保たれていることから手術可能と判断した.周術期の出血および合併症を回避するため心拍動下手術を選択し,2004年4月心拍動下冠動脈バイパス術3枝(RITA-LAD#8,LITA-LCx#14,Ao-RA-#4AV)を施行,術後経過は良好で術後12日目に軽快退院した.食道胃静脈瘤合併症例は静脈瘤出血のリスクと肝機能の両面から手術適応を含めた治療方針を考慮するべきと考えられた.

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